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2018.06.29    カテゴリ:  水辺の工法 

   江津湖の多自然護岸

 
江津湖上流の加勢川で多自然護岸による工事が終わったのが1997年1月、その頃に撮った写真です。

木材や石を組んで護岸を固める木工沈床工や杭柵工がもの珍しく、また魚の住みかに良さそうだと直感したのでした。
土木や生物分野の専門家による何らかの助言があり、熊本県の土木部署が形にしてくれたのでしょう。


江津湖多自然-1_1997年1月_サイズ変更

江津湖多自然-2_1997年1月_サイズ変更




下の写真には、今はないボート小屋(右側の茶色の壁の建物)が写っています。

江津湖多自然-3_1997年1月_サイズ変更





下は工事完成から約3年が過ぎた、2000年頃に撮った写真です。

江津湖多自然-5_2000年くらい_サイズ変更
江津湖多自然-4_2000年くらい_サイズ変更
江津湖多自然-7_2000年くらい_サイズ変更





下は工事完成から20年が過ぎた2017年2月に撮った写真です。

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下は2018年5月に撮った写真。
岸辺にアキニレなどの木が根付いてだいぶ大きくなっています。

2018-05-04 17-12-15 - 0089サイズ変更


昔から土手に湧水があり、足元が汚れやすいところで、子供のころにはここでズボンを汚して祖母にしかられたものでした。
ここに舗装した歩道やコンクリート護岸が整備されなくて実によかったです。現在は湿った環境を好む希少な植物をはじめ、淡水紅藻類、魚類、エビ・カニ類などがよく見られるし、土手の湧水が多自然護岸から水中に抜けるなど、江津湖の良い部分を残すことになったからです。


清水正元氏の著書「阿蘇山麓からの提言 澄んだ湖をつくる」には、スイゼンジノリの主産地であった神水本町松島付近を含む、上流域左岸の重要な湧水域に湖岸道路ができて、都市化が進み、人が定着するにつれ昔の姿が失われたとあります(p.138)。また、下江津湖右岸の江津塘(えづども)の工事では、昭和58年にサイクリング道路設置のため(鋼矢板で)大規模護岸され、マコモやヨシの汀(なぎさ)が消え、多くのドブガイが死滅し、小魚類と小鳥の住みかが消えたとあります(p.148、231)。出入りする大勢の人間によって加えられる自然への圧力が、自然破壊の大きな原動力となるだろうことは疑う余地がない(p.232)、安易な公園化は自然破壊につながるとも書かれています(p.232)。

靴を汚したくない人、快適にランニングやサイクリングをしたい人は、江津湖を今以上に便利に変えようとするのではなく、たくさんある他の舗装された公園に行けばいいだけです。



江津湖にて撮影

参考:
阿蘇山麓からの提言 澄んだ湖をつくる 清水正元著 朝日新聞社

2017.05.14    カテゴリ:  水辺の工法 

   江津湖の復旧工事(杭柵工)


2016年の熊本地震で岸などの一部が崩壊していた江津湖。
復旧工事が進み、完成形が見えてきていました。


工法170503-01






下の写真は崩壊を免れた区間で、伝統的な空石積み護岸。
この場所の空石積みは形が整った石が用いられているので、隙間が割と小さめですが、
それでも奥に空間があり、生きものが隠れ家として利用することができます。

工法170503-02








下の写真は、崩壊した空石積み区間を復旧させた区間です。
何と、杭柵工が用いられています。コンクリートではなく、自然の木杭の奥に栗石(ぐりいし)が詰められており、
不規則な隙間がたくさん確保できます。

工法170503-03





江津湖の同様の杭柵工を見る限り、木材や石など自然の材料を使うことで、生きものの住処としてよく機能すると思います。
6月以降のかんがい期には水位がもっと上がるため、魚やエビやカニたちもきっとやってくるはずです。

工法170503-04


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高い強度が求められる場所を除いて、江津湖とその周辺の水路で工事をする時には、全部このような工法でやってください!




2017/05/03撮影 江津湖にて

2015.06.07    カテゴリ:  水辺の工法 

   水路の風景 (江津湖以外)

 
二枚貝類の多い熊本の水路。
いや、多かった水路。


工事区域外1505








県営事業で水路工事が行われた。
護岸は自然石らしい趣の間知石の布積み。

底版はコンクリートで塗り固められ、生きものの気配は感じない。

底張りあり1505








一部が申し訳程度に二面護岸。
コンクリート二面柵渠で底版は現況の砂礫を戻した感じ。
1mごとに柵渠フレームがあり、その間に砂礫。
工事後約2ヶ月目で、イシガイ類はいるにはいるが、とても少ない。

フレーム部1505









こちらは同じ水路の上流側。
コンクリ柵渠を使わず、間知石に基礎を除いて、流心の延長10mほどが底版なし。こんな工法もあるのだ。
こちらの方が柵渠よりもまだマシのようだった。ドブガイやイシガイがちらほら。

底張りなし1505








しかし工事前はこうだった。完全な土水路。
水深は流心から岸際まで緩やかに変化。
水路の水位変動に応じて、イシガイ、マツカサガイが移動しているようだった。信じられないくらいたくさんの二枚貝がいた。

工事前1406
工事前二枚貝1406



工事が終わると水深はほぼ一定。
二枚貝類が多少生き残れたとしても、そこに住む他の生物も風景も貧相。



2014年6月、2015年5月撮影 熊本県内の水路(江津湖以外)

2013.02.01    カテゴリ:  水辺の工法 

   水中のすみか②

記事は昨年秋に下書きしていたものです。






魚巣ブロックは加勢川上流の左岸にも用いられています。

ただし右岸とは異なり、左岸の魚巣ブロックは口が大きく開き、
遊泳魚も利用しやすそうなタイプです。


魚巣ブロックの位置が浅いからでしょうか、
ここでは魚巣ブロックの内部よりも、
川底に設置された木工沈床の周辺に魚が多いようです。

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2012/09/23撮影 加勢川左岸ブロック下の木工沈床





石積護岸が壊れてできた穴の中や、
抜け落ちた石が転がっている周囲でも魚をよく見かけます。

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2012/09/23撮影 石組みが壊れてできた穴



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2012/05/05撮影 石組みの隙間にひそむトウヨシノボリ(石かっちょ)たち


石や木の杭の周囲に魚が多く見られるのは、
コンクリートと比べると表面に付着する餌生物が多いことも一つの理由と考えられます。

外敵から逃れるための隠れ家にもなります。


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2012/07/28撮影 石についた餌を食べるオイカワ

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2010/07/07撮影 杭柵工内にひそむオヤニラミのペア


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2009/05/03撮影 杭柵工の木材の下にひそむテナガエビ




ある研究によると、付着藻類などの量は、
天然素材(花崗岩、針葉樹、広葉樹)が人工素材(コンクリート等)の約5倍であったそうです。



江津湖で木工沈床杭柵工の工事が行われたのは、
1990年代後半だったと思います。


それ以来、いい感じでで生きものが集まり威力を発揮していると思いますが、
どうでしょうか。



江津湖にて



参考文献:
多自然型の河川を目指した河床素材の検討 酒見ゆき他(土木学会東北支部技術研究発表会 平成13年度)


2013.01.25    カテゴリ:  水辺の工法 

   水中のすみか①

 
加勢川上流の右岸には、
魚巣(ぎょそう)ブロックがあります。

ezuko120923-334.jpg



この魚巣ブロックは、
上下二段に小さ目の穴が空き、中は広い空洞です。

光が入りにくく中は暗いです。

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2012/09/23撮影



入口が狭く中が暗いタイプの魚巣ブロックは、
ナマズドンコなどの物陰に隠れて獲物を捕食する底生魚が利用するのではないでしょうか。




実際にブロックの中を確認するのは難しいのですが、
この時はたまたまトウヨシノボリが出入りしていました。

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2012/08/26撮影





ウナギも暗い場所に隠れるのが好きです。

しかしウナギには、走触性(体が何かに触れている状態を好む)があり、
広い空洞よりは、自分の体にあった狭い穴や隙間を好むといわれます。


ウナギを見るのは、
たいていは石を積んだ昔ながらの石垣の隙間です。

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2009/07/14撮影




江津湖の栗石のすき間にウナギがいました。

増水の直後でした。
ウナギは狭い隙間に逃げ込み、難を逃れたようです。

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2010/07/19撮影


江津湖にて


2010.04.14    カテゴリ:  水辺の工法 

   いろいろな水路

出張先におもしろそうな水路があった。
長崎県で見かけた水路。この時は水がなかったが,もしきれいな水が流れたら,魚がたくさんいそう。
水路1-諫早100129
2010年/1月撮影

佐賀県で見かけた水路。
両岸側に小段がついていて,流れが割と速く,いろんな二枚貝がざくざく見えた。
水路2-佐賀100327
2010年/3月撮影

こちらは江津湖公園の中にある水路。
水路3-江津湖091231
2009年/12月撮影

2010.04.12    カテゴリ:  水辺の工法 

   杭柵工の木材

昨年(2009年)12月のある日。
ぞうさんプール(カッパ天国)の角にあるアキニレの葉が,赤く色づいていた。

杭柵工1-091224-209
杭柵工2-091224-214

流れを下ったところにある,木材と石で組んだ杭柵工の護岸を覗くと・・
杭柵工3-091224-174

タカハヤや・・
杭柵工6-091224-204

ドンコが必ずいる。
杭柵工7-091224-176

1990年代後半に,この工法で護岸されたと記憶しているので,10年以上が過ぎたことになる。

水面上にあって,乾湿を繰り返す木材は,腐りやすいといわれる。そのとおり,縦の杭の上部はだいぶ朽ちている。
杭柵工4-091224-185

水の中に浸かりっぱなしの木材は,腐っている様子はなさそうで,堅くしっかりとしている。

杭柵工5-091224-193

同じようなものを見たことがある。
30年以上前に水中に打ち込まれた松杭を,工事で抜いていたので見せてもらった。その木は新品のようにきれいで重く,堅かった。水に浸かりっぱなしの木は,腐りにくいらしい。

川や水路の護岸は,コンクリートの材料もあるが,やっぱり生の木や自然の石がいい。
腐って,10年,20年後に修繕が必要になっても,生の木がいいと思う。腐ったら腐ったで,そこに卵を産みつけるトンボなんかもいるのだ。

2009年/12月撮影

2010.01.10    カテゴリ:  水辺の工法 

   水路の改修工事

江津湖右岸の画図地区で水路の改修工事が行われていた。

元々はこんな感じの水路。
水路改修前-091231

フレームを立てて
水路柵渠フレーム-091231

側面にパネルを張り、底を埋め戻すると二面張水路ができあがる。
これは「排水路」だから、乾田化のために田面から1m程度低い位置につくってある。田んぼから水をしっかり抜いて、大豆や麦を植えるためだ。
水路改修後-091231
魚巣ブロック(水面下の穴ポコ)のある水路もあった。
水路魚巣ブロック-091231
何年に一度の大洪水を想定して、水路の幅をかなり広くとってある。かんがい期(稲作のために水を流す期間)でも、これだけ幅が広いと浅くなり、水温も上がるのではないか。

食べるものをつくるための農業用水路なので、水路工事も仕方がない。水路を管理する農家としても草刈りが楽だったり工事費が安くなる関係で、側溝化を希望する事が多いらしい。

多自然型の水路づくりというのがあり、江津湖でもよく見かける。成功例も失敗例も色々あり、気持ちの入れようで水路のできあがりが違ってくると思う。一方で、管理の面で農家の負担が増えてしまう場合もある。

二面張や三面張でも石を置いたり工夫すれば、グッとよくなる場合もある。時間が立てばよくなっていく場合もある。でもそうなる前にいきものがいなくなるかも。
二面水路嘉島-091230
▲二面張でもよさげな水路(熊本県) 湧水のおかげでもある

工事を行う現場にどんないきものがいるのか、配慮しなければならない時代になった。ドジョウやメダカ、タナゴ類、それにタナゴが産卵に使う二枚貝など、そこにいないかどうか。

2009/12/30・31撮影

2009.08.29    カテゴリ:  水辺の工法 

   魚巣ブロック(その1)

県立図書館がある辺りの加勢川は、1980年代の中頃に改修工事が行われたと記憶している。

改修前は両岸が石積みで護岸されていて、右岸側は流れが強く当たるため、護岸の根元が少し掘られていて危険だったのかも知れない。でもそんなところに網を入れると、魚がバチャバチャと逃げる音がして、それを追い込んでいろんな魚が捕れた。
小さな子供にとっては一人前に狩りが成功したような気になって、すごい興奮だった。

工事が始まった当時、自転車で遊びに行く途中で工事を横目に見ていた。仮設で堰きとめられたところに魚がおらんかな、なんてそんなことばかり考えていた。
工事が終わると、護岸の水面近くに穴ポコが並んでいた。父から魚の隠れ家だろう、と聞いたような気がする。
水際付近に魚巣(ぎょそう)ブロックが設置され、それより上は自然石のようなブロックで護岸された。

以下は右岸側の魚巣(ぎょそう)ブロック。水衝部なので掘られて深い。

魚巣ブロック右岸1-090620
魚巣ブロック右岸2-090620
魚巣ブロック右岸3-090620
幅20cmほどの空隙が、上下2段に並んでいる。
上段の穴も水面下に来るように設計されたはずだが、水位の季節変動か、恒常的なものか、水位の低下によって水面上に出ている。

以下は左岸側の魚巣(ぎょそう)ブロック。カーブの内側なので砂がたまり浅い。

魚巣ブロック左岸1-090620
魚巣ブロック左岸2-090620
魚巣ブロック左岸3-090620
左岸側の魚巣ブロックは幅30cm程度の大きめの空隙があり、空隙同士は奥でつながっている。
ヨシノボリなどが入っているのを見かけたことがある。

どちらの魚巣ブロックも効果のほどは分からないし、確かめるのも難しい。
でもコンクリで固めて張っただけの護岸とは違い、自然石や魚巣ブロックでの護岸は、年月とともに江津湖らしい風格を持ってきていると思う。

耐久性が確保できれば、本当はランダムに空隙ができる空石積がいいと思う。
様々な大きさの魚が、自分にあった空隙に隠れる。釣りや魚捕りのポイントが増え、江津湖の魅力も増える。

次回改修する時は、できれば空石積がいいなぁ。

2009/06/20撮影

2009.08.02    カテゴリ:  水辺の工法 

   ポーラスコンクリートブロック

ポーラスブロック00-090626
水前寺江津湖公園(水前寺地区)の裏手に、水前寺公園から細々と流れ出る水路がある。
ポーラスブロック01-090626
地元の方が、ホタルを育てたり、ハナショウブを植えたりして、大事にされている。
ポーラスブロック02-090626
ポーラスブロック03-090626
この水路の(上流=奥側から見て)右岸側は石積護岸、左岸側はポーラスコンクリートブロックを用いて施工されている。

ポーラスブロック04-090626
ポーラスコンクリートは、砂ではなく、粒径が比較的大きな骨材を材料とすることで、「雷おこし」のような構造になっている。
小さな隙間がたくさんあって、保水性に優れ、粗目のものであれば植物の根も入る。

ポーラスブロック05-090626
ホタルが産卵するコケが付着しやすかったり、凸凹面が昆虫にとって上りやすかったりで、ホタル水路の護岸に利用されることがある。おそらく、この場所もそういう目的で使われていると思う。

最近は特に、ブロックとブロックの隙間を大きく空けたものや、表面を不規則に凸凹させたものなど、いろんな商品が開発され、下手な環境保全型ブロックよりもすぐれていると思う。

この場所はホタルにとってちょっと流れが細すぎる気はするが、夏にホタルが発生しているかもしれない。来年確認してみよう。

2009/06/26撮影



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